2020-01-01から1年間の記事一覧

「細野晴臣と彼らの時代」を読む

あたしの人生の師匠でもあるところの細野晴臣さんの評伝を読了。基本的には今まで10年に一度ぐらい訪れる「はっぴいえんど再評価」の時に出されて散逸している証言資料などを1本の線にまとめている印象ですが、重要な新たな事実もいくつかありました。も…

オルタナティブと孤独について~東浩紀「ゲンロン戦記」を読む

最近食指が動く本が少なくて、あまり新刊を買わないんですけども(来週細野さんの本は買います)、久々に発売日に買いました。東浩紀さんの「ゲンロン戦記」。 あたしは東さんの本に出会ったのは90年代で「郵便的不安たち」という評論でした。東さんも20…

宅八郎のご逝去にふれ、90年代の川勝的なものと宅的なものについて

昼飯食いながらこのニュース。 https://www.tokyo-np.co.jp/article/72371/ 宅八郎さんが亡くなってたそうです。食後のコーヒー飲みながら追悼します。 あたしは90年代若者なので、雑誌宝島的なサブカルチャーやポップカルチャーの洗礼を受けた最後の世代…

時流適応と原理原則の綱引きが不易流行なのかどうかについて

あたしは20代で社会出てから同世代以下にあまり縁がなくて、年上とばっかり仕事したり付き合ってきたりしたので、性別問わず年下に特別なご縁があったことは、これまでに数度しかありません。 今回久しぶり、というか、仕事で20代中盤の人とご縁と出逢いがあ…

アンチかオルタナティブか~大塚家具とジャパネットタカタの事業承継の5年を考える~

大塚家具を実父との骨肉の争いの末に世代交代したムスメさんが社長を辞任しました。 大塚家具とジャパネットタカタのトップ世代交代と、あたしが事業承継世代交代に挑むのがたまたま同じ頃で、この4,5年ずっと両社が話題になるたびにチェックして参考にし…

筒美京平亡きあとに話題になるboowyとヤンキーについてが興味深い

昼飯食いながらスマホ見てたら表題のことが流れてきて面白かった。boowyはヤンキーのもの、ということを後追い世代が実感として掴めずにいるところをリアルタイム世代がフォローする構図で、何故にいまこの話題なのかも含めて興味深い。 音楽に限らないあら…

筒美京平、逝く

出先に移動中に筒美京平センセの訃報を知りました。80歳。誤嚥性肺炎ですか。うちの親父と死因同じ、ということは最後寝たきりだったんでしょうね。 筒美京平センセで思い浮かぶことはたくさんあるんですが、次の4つがパッと頭に浮かぶので、追悼に書き残し…

流れ者 逝く

今月、渡哲也さんの訃報を新聞で知った。 西部警察などはちょっと前の世代で、あたしゃ世代では無いので思い入れは特にないのだけど、石原裕次郎記念館を畳み、石原プロモーションを倒産廃業ではなく解散の目処をつけて亡くなっていったことに敬意を表したい…

コロナ禍と相続手続き~曽祖父母の幻影を追い玄孫の未来を考える~

少しご無沙汰してしまいました。父の49日も終わり、全ての相続手続きも終わりが見えてきました。しかし相続手続きってのは人生にそう何度もないとはいえ、人生勉強ですね。資産を全部洗いだしてみると、例えば母の所有物が母のママで母が亡くなった時に父が…

キッチン南海と山下達郎から考える、大衆音楽と大衆食堂の相似性

https://news.yahoo.co.jp/articles/cca3c39de90c6c3a397d8f4f4a43b717054b3ea9 「キッチン南海」の沿革と商魂を東洋経済が特集するということに、商いをしてる人間として、なんか感じるものがあります。 こないだ、キッチン南海の道向かいの「スイートポー…

労音とヤマハと若者文化の栄枯盛衰史概略草稿

昨日SNSで旧い友人と70年代歌謡とヤマハについて話していたので、ここに改めて私見概略を朝の移動中にまとめておきました。その友人、ヘルニアの手術して入院療養中とのこと、お見舞い代わり、そしてお暇潰しにどうぞ。 60年代からヤマハは団塊世代を狙っ…

近代的自立にまつわる私家版三代話

父が亡くなってもうすぐ20日になる。まだ20日か、という長さである。 相続手続きやら保険や年金の停止解約やらと事務処理が次から次へとやってくる。戸籍謄本や抄本、附表なども取り寄せているが、親父の3代前からの名前が載っているし、まさに歴史が詰まっ…

両親を失くすことで前景化する無意識、そしてアンチのリスクについて

父が亡くなって12日が経過した。堪えている自分から逃げたり、誤魔化したり、虚勢を張ったりしても仕方ないので、なるべく丁寧に毎日を過ごしながら、心身の安定が自然に戻るのをじっと待っている。 親を双方失ってみて初めて分かること気づくことがたくさ…

父逝く

5月10日に父が亡くなった。一年半前に10年以上続けた一人暮らしをやめて自ら施設へ、一年前に施設で転倒して入院しそのまま寝たきりとなり、半年前に実家のある地域から東京に移設して、ちょうど半年で亡くなった。あたしは12年前に母を癌で亡くしているので…

クラフトワークの思ひ出

先日クラフトワークの創設者のひとり、フローリアンシュナイダーさんが亡くなった。あたしがクラフトワークを始めて聴いたのは高校生の時だったと思うけど、随分とお世話になった。特に91年(あたし高校2年生)に発売されたTHE MIXは死ぬほど聴いた。ルーツ…

ピカピカの新築間もない家に急に掲げられた「売り家」看板に考える

この2か月間、周囲の過酷な現実を散々目にし耳にして、落ち込んだり立ち直ったりしていますが、週末連れ合いと散歩している時に、新築で2年も経っていないぐらいの家に「売り家」の看板が吊り下げられていて、なんか見過ごせない「ザワツキ」がありました。 …

過去に学ぶ余裕を作るのが困難なご時勢に、それでも学ぶことを考えられるのか

誰も考えることかもしれませんが、この間、うちの仕事は「不要不急」なのか「必要火急」なのか、という問いがふと頭に浮かぶことがあたしにもありました。 その問いに対して、あたしは世間の判断はどちらでもよいと思っていて、自分でその2項対立の問いに判…

久々に感じる強いシンクロニシティー藤原辰史さんの寄稿文ー

週末の朝日新聞に寄稿された京都大学准教授の藤原辰史さんの「人文知を軽んじた失政」というタイトルの文章、久しぶりに強いシンクロニシティを感じた。歳も同年代で、同時代人として勇気が湧いた。 大事なところを写経したんだけど、ここにも備忘録で載せて…

サントリーBAR「中野ブリック」を偲ぶ

前回25年を振り返りましたが、ちょうど同じぐらい通ったBARが、このコロナ禍の影響で60年以上の歴史に幕を下ろすという訃報が入りました。大変残念です。思い出を綴って追悼としたいと思います。 初めて行ったのは20代前半だからもう20年以上前ですけど、…

コロナ禍に考える平成史

ちょうど末っ子が小学校中学年になった去年ぐらいから、夫婦で時間が余るようになったんで、アラフォーの健康維持目的もあって、誘って散歩するようになりまして。散歩っていっても2万歩ぐらい歩くんで長いんですけども。 うちは結婚して18年、出逢いは1994…

ポストパンデミックを考えるためには、今までの自分を振り返っておくこと、そしていまの自分を記録しておくこと

休眠していたブログを最近ポツポツ思い立ったら更新しようと思ったのは、この動乱の最中で自分がその時何を考えているか記録しておきたい衝動に駆られたからなんですが、もしあたしがコロナにかかってそのまま死んでも、家族への遺品として残りますし。(笑)…

動乱とポップスの相性の悪さ2-ユーモアとアナキズム

コロナ禍で社会が親権威と反権威の対立軸に収束していく様相が強まっていく中でのポップスの相性の悪さについて前回書きましたが、もうちょっと補足したいと思います。 昨日だったか、夫の不倫と離婚で傷心の女優が家で加川良さんの教訓を歌った動画が話題に…

動乱とポップスの相性の悪さ、そしてポスパン世界と服部良一と東京ブギウギ

身近なところで感染者や重症者も見聞きするようになって身辺にコロナ禍が迫っているのは感じます。ここはしかし悲観的楽観主義、あらゆることへの危機意識と精神的余裕と余白を兼ね備え、隣人への慈しみを持って、事にあたっています。たまたまとはいえ、そ…

コロナ禍の渦中に考える山下達郎と志村けんの共通点あるいは相違点、そして日本のお笑いのリズム史について

リーマンショックどころか戦時下とも言われる状況になってきました。2016年のオリンピック招致から大不況を想定して動いてきて、この不況に動じない財務体質や組織体質を作ってきた身とはいえ、やはり例年通り桜を眺め楽しむことが出来ない自分に気がづきま…

新型肺炎ウイルス騒動最中に橋本治を読み直して考えること

昨年秋の消費増税がボディーブローのように効いているところに今回の新型ウイルスがきて、製造運輸飲食エンタメ観光宿泊なんかを中心に大変なことになっています。良かったものが悪くなった、ということなら持ちこたえることもできるわけだけど、弱っている…

ツイッター半年やめて思うこと、そしてAI美空ひばりと山下達郎と冒涜の意味

ご無沙汰しています。ツイッターやめてから半年強が経過しました。やっぱり虫の知らせのようなもんだったのかもしれませんが、その後、あたしがツイッター始める動機にもなった批評家の東浩紀さんも止めたようです。その後のあたしといえば、公私共に好調で…