大島渚からテナント募集広告まで

さっき起きて新聞を読んでいたら、大島渚のDVDボックスが出る、というニュースに遭遇しました。

大島渚というと、わたし世代だと、テレビの討論番組で顔を高潮させて激怒しているおじいちゃん、という感じですけど、大島渚の映画って、普通に暮らしてたら、同世代は見て触れる機会ってなかったでしょうかね。

わたしは、新宿と縁の深い人間なので、新宿といえば大島渚、ということで映画はだいたいみました。オールナイト上映とかですね。なんだかやけに混んでいた記憶があって、やけにおしゃれな人たちが(笑)たくさんいた記憶があるんですけど、あれは何だったんだろうなあ。。

98年ぐらいでしたか。コギャルに占領された渋谷、新宿リキッドルーム椎名林檎などで何故か一部で新宿ブームが来て、カルチャー誌が新宿を特集し始めました。(あれは誰が仕掛けたんでしょうね)、新宿といえば60年代でしょ、ということで、寺山、大島、天井桟敷、なんかが、いろいろと再評価、というか我々世代にもいろいろ触れられる機会が増えたんでしたっけ。

今のゴールデン街なんかも、2000年以降にオープンした店が多いっていうから、もしかしたらその90年代後半のブームがなければ、今のような形にはなっていなかったかもしれませんね。

30余年の人生のうち、5分の1を新宿区民として過ごした身として、新宿を表現すれば、「魅力が乱数で光る」ということに尽きます。西新宿、北新宿、歌舞伎町、1丁目〜6丁目、百人町、大久保、戸山、神楽坂、高田馬場、早稲田、牛込、それから、市ヶ谷、飯田橋、どこにいついっても、いつも新鮮で、懐の深い場所です。

ここに昔に書いたエントリで、哀愁の渋谷系http://d.hatena.ne.jp/fraflo/20051016)という記事があるんですけど、今ても同じ思いです。やっぱり裏と陰のある街、っていうのはいいですよね。

今は、哀愁の渋谷系を書いた3年前から更に裏と陰のある街ってのは減ってきていて、街の魅力が減るってのは、文化の衰退でもあるわけですし、こまりもの、ですね。

そんな中で、裏と陰、つまり路地のよさを伝える有名人といえば、元パロディフォークの旗手、なぎら健壱です。「絶滅食堂」という本を出したそうですが、買いでしょうね。

大きな道路を車で走っていると、いつどこでも同じような店が立ち並んでいる光景は、ここ20年ぐらいで完成した風景ですけど、今は同じように肩を並べて「テナント募集」の貼り紙が。(笑)

昔廃墟となったドライブインって味があって良かったんですけど、今の「テナント募集」は、廃墟の魅力がない、というかそもそも廃墟になっていない。

それは、稼動中も大して盛り上がりも盛り下がりもしなかったという(笑)、建物ってのは、実体としてはただのコンクリートの塊だけど、そこに物語がかぶさることによって、見え方が違うんですね。

人の欲が均質化平準化して、物語が「ライトノベル化」して、風景が色あせる。栄枯盛衰とか勃興の物語とか、上り詰めるのも奈落の底に落ちるのも、残すものが何もなく味気がない、なんて小室哲哉のニュース見てても思いました。小室の物語の見え方は「廃墟ドライブイン」ではなくて「テナント募集」なんですね。

過去の記事に触発され、久々にテーマが煩雑で落ち着きのない(笑)、「らしく」フラグメントフロアなモノローグでございました。

−−−昨日夜中の分−−−

たまたま今日はじめてお会いした人と、ふとこんな埋もれた名曲の話になり、記録エントリです。

何人が分かりませんけど、アップしてくれた人リスペクト。