上滑りと寝技

先日、ある中小企業の社長からの頼みで、一緒にお仕事のお話を、ある企業に聞きに言ったんです。

その社長さんはわたしよりちょっと年上の世襲3代目なんですけど、その人の営業スタイルを初めてみたんですけど、それを一言集約するとこれでした。

「上滑りと寝技」

昨今コミニュケーションの話というのは、方々で出てくるわけですが、「この人はコミニュケーション力がある」という人でも、分岐点があると思っています。

コミニュケーションが上滑りするかしないかというのは、その分岐点のひとつです。

一見仲が良さそうで、コミニュケーションが取れてる間柄のように見えて、実は関係は上滑りしている、というのは、特にビジネスの世界では、多く見られますよね。

でもこれって、「いいお客」とは付き合えないなと思うんです。「いいお客」ってのは、お金払いがいいお客という意味だけではないですよ。善意がまわる(前に駆動する)関係を築けるお客さんのことです。

上滑りのコミニュケーションってのは、親子や恋人関係でも一緒で、小さい頃から培われるものなのかもしれませんけどね。見てればすぐ分かりますね。

で、上滑りのコミニュケーションをする人というのは、すぐに関係を寝技に持ち込もうとする傾向があります。寝技に持ち込むというのは、「ここだけの話なんですけどね」とか、なにかを差し出して機嫌を取る、とか、そういうプレミアの関係にすぐに持ち込もうとすることです。

もちろん「寝技」ってのは、最終兵器として必要なときもあるんですけども、上滑り型のコミニュケーションの人は、滑っちゃってるので、すぐに寝技に持ち込もうとするんですね。

恋愛も一緒ですけどね。

仕事だと「上滑り」でOKみたいな空気もあるんですけど、そりゃ勘違いでしょうね。「ビジネスライク」なんて言葉がありますけど、ビジネスライクなお付き合いと上滑りのコミニュケーションは、同じものではないんだとわたしは思うんですけどね。

結構皆さん、同じものだと考えてますよね。

ビジネスライクっていうのは「けじめ」みたいなもんで、条件が緩く永続に関係が続く、ということではない、といった「時間」の問題で、その時間が長いのか短いのかと、その間柄が「上滑り」しているかどうかとは別の問題だとわたしは考えます。

だからビジネスライクでも、上滑りしないコミニュケーションを作ることは可能だし、可能だというか、そうしないとビジネスなんて繋がっていかないですよね。

自分のまわりを見渡してみて、その関係が上滑りしているのがほとんどだったら、きっと歳とってから背負うリスクは高くなるような気がします。

だからよく言われますけど、幼馴染というか、ガキの頃から付き合っている人間と、(本質的に)オトナになってから知り合った人間が、最後まで残るというのは、「上滑りしようがない」という時に出会った人と、「上滑りしない」ということに自覚的になってから知り合った人、だからじゃないですかね。

オミズマインドについて「上滑り」を是とする解釈をされる方もいると思いますが、これは違いますね。浮遊はするけど、上滑りとは違うと思います。

浮遊は「する」だから自覚、能動であって、上滑りは「した」だから(無意識に近い)状態である。

わたしおそらく30過ぎてから「上滑り」の状態を認知自覚できるようになったような気がしますけどね。

やっぱり現代30歳成人説は、わたし肯定派ですね。(笑)