マッチメーカー

金曜日からの続きで、週頭から堅い話が続きますが、自分のメモも兼ねてますのでご容赦ください。

「仲人」を英語でいうと、マッチメーカーというそうですが、最初やりたいと思ったこと、わたしの今やってること、これからもおそらくやっていくこと、はこれに当たるんだろうと思います。

前に職人の話を書きましたけど、職人は技術を持つわけですが、どの職人がどういう技術を持っているか、という情報を出来るだけおおく持つのがマッチメーカーの仕事です。

例えば営業という仕事があります。モノ売りでも企画提案でも、売るものの対象は何でもいいんですけど、マッチメーカーと営業は違う、ということを先日改めて考える機会がありました。

そういう意味では「営業」というのもひとつの職種であり、職人なんですね。言葉巧みに相手を誘導して、30分で発注書にハンコもらって(笑)帰ってくるというのは「技」ですからね。

そういう意味で言えば、わたしは営業ではないな、と。

マッチメーカーは、信頼の輪を広げておくことが仕事です。お客さま(需要側)が何かあった時にふと顔を思い浮かべてくれるようにしておくこと、職人(供給側)が活きる場を多く提供できるようにしておくこと、その需給の間にたって、線を繋いでいって、みんなにニコニコしてもらうことがマッチメーカーの仕事であり生活であり目的である、ということですね。つまり「スキーム(仕組み)」を作っておくんですね。

前に要職について組織を束ねていた頃、プレイングマネージャーとしてお客さま満足(CS)と従業員満足(ES)を両方満たそうと思って東奔西走して、燃え尽きた(笑)経験があって、先週のリーダーの話じゃないすけど、「わたし向いてねーなこれ」と自己分析したんですけど、そういうむいてるむいてないの話でもないかな、と、このマッチメーカーのことを考えて、思いました。

需要サイド(CS)の要求と供給サイド(ES)の要求を同時に満たすというのは理想ですが、特に今はなかなか難しい状況が現実にはあります。
今起こっている問題のほとんどは、どっちかを選んでどっちかを切る、みたいな、経営者はみな、三角関係の恋に悩む人、なわけですか。

信頼を築く、というのはとても大変な仕事です。一説では、相手との食事会(てかお酒)1回に対して、コーヒーだと30杯分だ、とかいう話をどこかで聞いたことがありますが、ま、近いものがあります。恋愛も一緒でしょうかね。

お客さんと替え難い信頼関係の上でニコニコ持続的な仕事をしようとすることを求めるには、そもそも時間がかかるのですね。

時間がかかる、とどうでしょう。待っている供給側(ES)に無理がかかります。つまりESが落ちる。

お客さまの窓口に立つ営業は、メーカーであれば在庫という問題を、製造業であれば機械を回せという意識が、サービス業であれば人を遊ばせてしまうという意識が、働きます。それをクリアしないと自分も含めて労働条件が過酷になる。でもクリアしようとするとCSが落ちるんです。

つまり今はお客さまの事情だけを考えたら従業員の満足は減り、従業員をニコニコさせようと思ったら、お客さまと時間をかけて信頼を作る時間(コーヒー30杯飲む時間)なんてないんですね。無理をしないといけない。

それでも、わたしはやっぱりコーヒー30杯分時間かけて、お客さまとも、仕事をこなしてくれる職人とも、それぞれ信頼関係を作りたい、仲人でありたい、と思うのですね。だって自分がニコニコ生きたいから、です。

で、そうしたらやっぱり、三角関係を前向きに維持するにはどうするか、ということを働きながら考えてます。

いつも言いますが、民主主義的自立(無理せず甘えず)をいまの社会の中で実現する方法は、
1、自分の振る舞いによって人生が左右されてしまう人間がいるようなもたれ合いの深い関係性(またはその自分と人を逆にした関係性)を出来るだけ持たない(孤独を受け入れる)
2、その上で自分の役割を明確にして、協調の中で生活を前に駆動させる人間関係をより多く作る。(オミズ)

昔名刺の肩書きに「ヒューマンハーバー(人間の港)」って書いてあるおじいちゃんにお会いしたことがあるのですが、「マッチメーカー」ってのはヒューマンハーバーほどのセンスはないですねえ。(笑)

なんか胡散臭そうな感じが、またいいです。