受験勉強 OR オナニー OR DIE

変化の時代、とか言われて久しいけど、いよいよ先行世代がせき止めていた変化の水がセキを切って流れ出したと感じざるを得ない状況が増えてきましたね。最近の話題といえば、ライブドアvsフジサンケイグループ、だけど、こういった旧価値破壊vs既得権益死守っていうのは、歴史的に繰り返されてきたことなんだろうけど、リアルタイムということでは面白い時勢、ですよ。

下世話なところで、ニッポン放送の番組を降りる降りないとかいった問題。タモリとか中島みゆきとか降板するといえば、ナイナイ岡村がリスナーがいれば関係ない、といった発言をしたり。タモリってもの凄くフラットな感じがするけど、そういうこと言うんだなあと意外でしたね。やっぱり年を取ると、それまでのいろんな苦労もあるし(特にこの世代は)破壊から保守へ、左から右へと自動でシフトしていくんだろうかねえ。ちょっと感情論的すぎてアレだけどね。

例えば戦前は、「浅草」「銀座」といった場所が若者文化の中心としてあったわけだけど、それを作ってきた世代が次代の若者を排除することで、「古きよき」を守った、というのはあるでしょ。排除された側が六本木(飯倉)にいったり新宿にいったり原宿にいったりしたよね。70年代以降は企業主導で街が作られていく(渋谷)から、あんまり面白くなくなっちゃったけど、でもそういう「元若者vs若者」の戦いってあって、この問題も一緒だよね。

僕はホリエモン、岡村と同世代なのだけど、破壊と保守、両方の言い分は心情的には理解できなくもないでしょ。長い年月かけて作ってきたものを壊される感情というのは、誰しもあるもんですし。また新しく作ればいいよ、という余裕とか懐の深さってのは、常人にはなかなか持てるもんじゃありません。

丸山真男の発言で「TO BE」と「TO DO」というのがあるんですよ。前者は「〜である」後者は「〜する」という意味。つまり、「TO DO」の結果が「TO BE」であるわけだけど、TO BEの状態を維持する、という日本的価値観をどう見るか、という問題を高度成長の時代から言ってるんですね。

例えばがんばって(TO DO)部長になったと。俺は部長だ(TO BE)というところにあぐらをかくと批判が出ますね。有名無実だとか名誉職的で判子だけ押して何もしないとか。部長からすれば俺は今までこの地位にくるまで必死にがんばったんだと。文句があればお前らもがんばればこの地位にこれるぞ、という感覚ね。日本には多いらしいですね。こういう「名誉管理職」みたいな人。もの凄い部下思いの社内では革新派だった人が偉くなったとたん変わってしまった、とかね。戦略的に変わる人もいるけどね。大多数、ということではそうでしょう。

最近の公務員厚遇の問題も一緒で、俺は必死に勉強して高倍率を突破して公務員になったんだと。そのがんばった褒美として「厚遇」で何が悪い、という開き直りですね。日本の「がんばればなんとかなる」教育思想が、元来非エリート層をエリート枠に押し込めてしまう。そうすると、こういった「TO BE」観を何も不思議に思わない、知恵も精神的余裕もない子供みたいなやつが日本を動かす、ということになるわけでね。勿論全員じゃないですけども。優秀な人もいっぱいいますけどね。

右(がんばらない弱者は最初から切り捨てます)と左(何も考えずとにかく平等)でなく、(がんばった人は認め、がんばれなかった人ももう一度チャンスがあります。ということはがんばった人の権利も一生もんではないので、もっとがんばり続けてください)という「第3の道」が、知識人から出てるよね。僕もこれ賛成です。

「TO DO」し続ける人こそ賞賛されるべき、権利を行使できるのであって、今「TO DO」しているライブドアも、その姿勢、常に「TO DO」し続けることによってのみ賞賛されるべきものなんじゃないかと思いますね。拝金主義とか言われてますけどねえ。それは浅はか、ですよね。とにかく壊せ、という西海岸ハードロックのようなものではないでしょ。まあ若さ故の稚拙さはあるでしょうけど、それを恐れて何もしないよりましなんですよ。なんで目くじらたてて大騒ぎするんだろうなあ、と思うわけですよ。子供の仕業だったら冷静に対処すりゃいいのにね。そうじゃないところまで大人が追い詰められてる。

ヴァージングループってありますよね。レコードの通信販売からたかだか30年でメディア、航空と飲み込んで一大グループにしてしまった社長がいるわけですが、ホリエモンも大分この人に感化されているみたいですね。

ぴあとか渋谷陽一とかもそうですけど、1サブカル的弱小市場からの急成長、そりゃはた目に面白くないわけないんですよ。その「急成長」というのがポイントで、それまで求めることでの「速さと合理性」という部分の手法が、拝金とか言われる所以なわけですけど、やるからにゃ早くて簡単なほうがいい。即決断、即行動って松下幸之助も言ってるじゃないですか。ベンチャー精神ってのは、そういうことなんじゃないですかねえ。大企業を下からゆっくり確実に登ってきた(こざるを得なかった)人達には、分からないのかもしれませんよね。結局リベラルでうらやましいなあ、というのが保守派の本音、ではないでしょうかね。

テレビなんかでいろんな人のコメントの配列見てると、そう思いますけど。