1973年デビューのディーバたちの50年後に国際女性デーだからというわけではないが敬意を表すの巻

今朝の新聞一面広告、高橋真梨子さんがペドロ&カプリシャスの2代目ボーカルとして[ジョニーへの伝言」でデビューして50周年だそうです。ということは必然的に五輪真弓吉田美奈子荒井由美も50周年ということなんですが、確か「ジョニーへの伝言」は発売時は大して売れなくて、次の「五番街のマリー」が売れてから後追いで売れたとどこかで読んだ記憶があります。チェッカーズの「ギザギザハートの子守歌」が「涙のリクエスト」のヒットで後から売れたのと同じで、でもそういうことは歴史上忘れ去られがちです。ちなみにペドロ&カプリシャスの初代ボーカルは前野陽子さんですが、あたしは高橋真梨子さんの「桃色吐息」よりも、前野陽子さんの「スペースコブラの主題歌」のほうが好きでした。(笑)
 泉麻人さんのニューミュージックコラム本を読んでいたら、当時リアルタイムの音楽マニアの中では、70年代初頭の、ローラニーロやキャロルキングの名盤「タペストリー」のヒットの流れで出てきた和製女性ソロシンガーという位置付けの三大噺は「五輪真弓吉田美奈子中山ラビ」だったそうで、五輪さんの当時のバックバンドは大村憲司高水健司村上ポンタ秀一からなる関西リズムセクション吉田美奈子とラビさんはキャラメルママ系統が後ろ盾でしたから、この三大歌手は当時のシーンの先鋭だったわけで、ユーミンはもうちょっとメジャー寄り、そして高橋真梨子さんはもっとメジャー寄り、という位置付けだったのだろうと思われます。なんつっても高橋さんはその前にスクールメイツにいた時代もありますからね。(笑)素行不良で即クビになったそうですけど。
だから、単純に1973年デビュー組といってもその後も含めて色々あるなあという感じで、デビューがちょっと遅い中島みゆきさんや大貫妙子さんも含めて、みなさんいまでもシーンに残っていらっしゃって、こうやって新聞一面広告ですから、素晴らしい。
高橋さんは数年前に新聞に回想録が出ていて、添付の1968年のハコバンのボーカル時代の写真が印象深いです。
1968年というと、はっぴいえんど前夜で松本隆さんと細野さんは青山コッチや新宿パニックといったディスコでハコバンやってた時代ですから、高橋さんも同じ時期、東京と九州ですけど、そうやって下積みをしていたわけで、そう思うと、高橋さんのこの50年の力強さが分かる気がします。前川清さんも同時期、長崎でハコバンのボーカルやってたそうですけどね。細野さんの青山コッチの思い出として、デビューしたての森進一が遊びに来て、白目向いて踊ってたというのも語り草です。
それまでレコード会社や専属作家専属歌手制度をもって、なんとかオーディションとかって、つまり上からピックアップされてデビューしたわけではなく、インディーズの下積みから出てくる、というのの最初はこの70年代前後からなんですけども(GSの時代もまだレコード会社主導でした)、やっぱりそのフロンティアの人たちの、演歌系の人たちの苦労の仕方とは違った自負や力強さみたいなものがあって面白いです。
どうやら吉田美奈子さんもライブ活動を引退するとかいう話も聞きますし、この広告見ると高橋真梨子さんもライブ活動は昨年が最後だったようですね。
ところで、あたし「高橋真梨子」というと銀座や赤坂や湯島など、自分が出入りしていた夜の街のクラブやスナックを思い浮かべます。あたしはプライベートではそういうところに好んで出入りするタイプではないですから仕事の接待だけで接するその世界で、歌がうまいと評判のチーママにカラオケをリクエストすると歌うのは高橋真梨子、というイメージ。(笑)ちなみにのど自慢の常連男性客が歌うのは鈴木雅之(笑)、つまり「平成の二大ムード歌謡」ですね。
吉田美奈子山下達郎をスナックで歌うとドン引きされますから(笑)、同じ「夜の街の住人が愛する歌」といっても。BARとスナックという娑婆の違いで全く違う。そこに出入りする人間の違いを分析した文化人類学の本はないんでしょうかね。(笑)
先週、J-WAVE坂本龍一さんの番組が終わりました。病気療養中の教授に代わり、最後のナビゲーターを務めたのは大貫妙子さんで、あたし大貫さんが最初にかけた「都会」で不覚にも泣いてしまいました。(苦笑)教授の弱り、大貫さんの凛とした、しかし静寂を味方につける声と雰囲気、「都会」が表現するメロウ、の完璧な重なりに、ああ、日本のポップスの一時代、この50年の時代が終幕するなあという感慨に急に襲われたのでした。
女性ではあとユーミン中島みゆきがいつまで続けるか、男性では桑田さん細野さん達郎さんですかね。中島みゆきさんと細野さんは自分で終わりを決めて、かつフェードアウトでも誰も文句言わなそう(なほど気まぐれなイメージ)ですが笑、ユーミンと達郎さんと桑田さんは、どうもそうはいかなそうな感じがします。
今日は国際女性デーだそうですが、女性デーに、「自立する女」の先駆をつけた1973年デビューの女性ソロシンガーの皆さんに敬意を表するというキレイな流れ、偶然ですけど。笑、