レクイエムは鈴木邦男さんです。
あたしら世代の、特にサブカル都市民の必読書として90年代に君臨した週刊SPA!の連載が出会いだったと思いますが、SPAと共にTVブロスが90年代カルチャー系若者に果たした役割は、60年代カルチャー若者における平凡パンチや朝日ジャーナル、70年代カルチャー若者におけるホットドックプレス、80年代カルチャー若者における宝島やビックリハウスなどと同等に、そろそろもう少し考察されてもよかろうと思うのですけど、まあそれは置いといて、鈴木邦男さんです。
あたしはとにかく人と徒党を組んだりつるんだりするのが嫌いで、脱権威で自由を好みましたので、左右双方のイデオロギーの内容や現象には興味があっても、それを支える集団や構成員にはいっさい興味が湧かないタチなのですが、鈴木邦男さんを知ることで右翼のイメージはパラダイムシフトしましたし、左翼も同じように理解するようになり、実は右も左も「憂国の徒」と言う意味合いでは同じであり、右と左は直線ではなく、円を描いて繋がっていると言う世界理解をするにいたるのであり、それは例えば戦後歌謡における古賀政男と服部良一、ビートルズで言うジョンとポール、はっぴいえんどで言う大瀧と細野、boowyで言う布袋と氷室の笑、理解に繋がっていくわけで、鈴木邦男さんがあたしに与えた影響は甚大です。
時の首相が「聞く力」とか、阿川佐和子さんのベストセラーから代理店が参照してきたようなキャッチフレーズを申しておりますが、本来的な意味で聞く力は鈴木邦男さんのような人に宿っているのであり、それは吉田豪さんあたりに系譜として引き継がれたように思いますが、鈴木邦男は代理店は参照しないでしょうから、それは残念でなりません。
とにかく佇まいが素敵でした。佇まいを褒めるのは、鈴木邦男さんとナンバーガールの田渕ひさ子さんだけです。笑
内田樹さんの文章が、鈴木邦男の佇まいを一番よく表現していると思います。
http://blog.tatsuru.com/2023/01/27_1630.html
「独立独行の人」との若い頃の出会いを用意してくれたSPAには感謝しかありません。それが無ければ独立独行を志すことさえ出来なかったのかもしれませんから。
ご冥福をお祈りします。