御三家文化に捧ぐ~西郷輝彦さんの死で振り返る御三家の系譜~

西郷輝彦さんがお亡くなりになりました。星のフラメンコを久々に聴きましたけど、ハマクラさんは脂が乗ってる時期ですな。
で、「フラメンコ歌謡の系譜」でも良かったんですけど、芸能、特に音楽ジャンルにおける御三家の系譜について考えていたことがありまして、それを書き残しておきたいと思います。

戦後の御三家の元祖は「橋幸夫舟木一夫西郷輝彦」の御三家と言われてます。その前に女性では「三人娘」というのがあって「美空ひばり江利チエミ雪村いずみ」が元祖となっているという認識ですが、「三人娘」ってのは「三姉妹」同様に物語設定になりやすくて、いまでもCMの設定とかで細々系譜が続いてるようですけど、例えば今だったら「ユーチューバ―御三家」とか「TIKTOK御三家」とか祭りたてられてもいいと思いますけど言われないわけで、御三家の系譜はやっぱり完全に途切れた感があります。

ちなみに三人娘の男版で「三人ひろし(井上ひろし、守屋浩、かまやつひろし)ってのがロカビリーブームのころにあったけど、これも御三家前史として貴重な歴史です。

御三家の系譜を音楽ジャンルでまとめてみると、流れとしては「青春歌謡→自作自演(ピーターポール&マリーとカレッジフォーク以降))→GS→フォーク(ボブデュランと関西フォーク以降)→アイドル→ロック→テクノ→インディーズ→(第二次)バンドブーム」ぐらいまではギリギリ系譜があったというように思います。ただテクノ御三家以降はパリティで、正史というより俗史という感じでしょうかね。誰もがが知ってる、というのはロック御三家までで、つまりその「誰でも知ってる」が崩れるポストモダン移行の80年代に御三家の系譜は終わるという、そういうことなんでしょうか。

それで、それを縦に並べるとなかなか面白いんですけど、
あたしが恣意的に並べてみますと

青春歌謡(元祖)御三家 橋幸夫     舟木一夫   西郷輝彦
自作自演御三家     加山雄三    マイク真木  荒木一郎
GS御三家       タイガース   テンプターズ オックス
フォーク御三家     吉田拓郎    井上陽水   かぐや姫
アイドル(新)御三家  郷ひろみ    西城秀樹   野口五郎
ロック御三家      世良公則、   原田真二   CHAR
テクノ御三家      P-MODEL ヒカシュー  プラスティックス
インディーズ御三家   有頂天     ウィラード  ラフィンノーズ
バンドブーム御三家   ユニコーン   ジュンスカ  ブルーハーツ

こうやってこれを縦に眺めた時の、あたかもスーパー戦隊ものの「赤はリーダー、青がサブリーダー、黄色はカレー好き」みたいな(笑)御三家の構造的特徴があるような気がします。(笑)

橋さんのところはリーダー枠、西郷さんのポジションはリーダー対抗枠、舟木さんのところははみ出し枠、的なイメージで極私的に並べてみたんですけども、シブガキ隊でいえば「ヤッくん、モッくん、フッくん」ですし、少年隊でいえば「錦織、東山、植草」だとしても、まあまあ人によって議論を呼ぶような気がします。特に2枠と3枠は。(笑)

●●族や御三家といった俗称や文化は昭和の遺産として葬られるんですかね。西郷輝彦さんの死に、あらためてそんなことを思いつつ、ご冥福をお祈りします。