近田春夫さんの自伝を読む

近田春夫自伝読了。
 
(1970年頃までの)戦後のエスカレーター私立の子息令嬢文化史、GS史、内田裕也系譜史、日本語ロック史、団塊世代ミュージシャン交友録史、日本の踊り場史、日本のハコバン史、日本のパンク史、興行史、芸能史、テレビ史、ラジオ史、出版史、アーリー80ズクラブ史、日本のヒップホップ史etc、つまり総体としての東京都市文化史的に重要な、あらゆる方面に貴重証言を残す一冊だけど、近田春夫ファンか、東京カルチャー史に多面的に興味がない人にはおもちゃ箱を漁ってる感じで非常に読み難いかもしれない。笑
近田さんの人生のポイントがいくつかあったけど、ムッシュかまやつさんにバンドに誘われて、それを内田裕也に嬉々として報告したら、さすがシノギの世界で笑、「俺とムッシュとどっちを取るんだ」と怒られて、それっきりムッシュと共演することは
なかったという70年代前半のくだりと近田さんの葛藤が、つまりムッシュはっぴいえんどの音楽趣味人の系譜と、内田裕也→キャロルの音楽シノギ系譜の間を行き来する存在にしたということなんですかね。
 
しかし細野さんとドン勝本さん双方と仲良くできるっていうか、インテリと不良遊び人の双方をフォローするそのポジションは独特で、面白いです。
 
編者の下井草さんがあとがきで、本来川勝正幸さんがやるはずだった仕事だと書いている。s-kenさんの自伝にも本人が同じこと書いていました。
 
川勝さんがアーカイブしようとしていた壮大なものを想像しつつ、あとは各自で、ですな。